2020年
2月
14日

極小携帯と振興キャリアに見た夢

携帯回線というと。回線を間借りしている格安モバイル(MVNO)以外で言えば、ドコモ、au、ソフトバンク。この3つだ。そこに今年、4つ目の回線キャリア「楽天モバイル」が加わる。今回、私は選ばれし者として輝かしくも誇らしいサポーターとなった。

しかし私は楽天になんの思い入れもない。楽天市場といえば、世界のデザインの反面教師のようなUIとして名高い現代の闇市。またポイントで友人が楽天カードを薦めてこられても、楽天カードマンという得体の知れぬ存在がフラッシュバックし、拒絶反応を隠すことが精一杯だった。

ここでもしそんな楽天のサポーターとなってしまえば、「あのカードで目を隠して居るのは、消費者側がリボルビング払いに盲目的になることを表して居るのか」あるいは「楽天側が社内の指示は全て英語で行うという、島国のコンプレックスを煮詰めたような香ばしい企業風土に目を瞑って居るのか」から始まり、会社も遊びも投げ捨て私からのフィードバックは果てるまで止まることをしれないだろうということは容易に想像できる。

残念ながらそれすらも考えることもなく、なんとなく応募してみたというのが経緯である。よって、世にあがって居るレビューの中で、ここまで堆肥にもならないような中身の残念さと、気合の入っていないフラットさは保証したい。

そもそも申し込み前から、通信会社としての酷評は嫌でも耳に届いていた。ただその時に実質ほぼ無料で手に入れられる端末「Rakuten Mini」目当てだった。

ところが早速、申し込み段階で問題児となった。私自身が、である。
SIMカードではなくRakuten Miniを購入扱いで受け取りたい場合、申し込みは途中の「店舗受け取り」を選んで、QRコードを持って店舗に行って引き換えるという形になって居る。ところが、あろうことかこの鳥頭は最後まで申し込みを完了してしまった。

早速サポートセンターに滴り落ちる涙を必死に堪えながら泣きついた映像をご覧いただきたい。

サポートとのチャット1

サポートとのチャット2

大変丁寧に「店舗に行けば大丈夫!」という心強いお言葉をいただき、そのまま「どうやって謝れば良いだろうか」「掘られたらどうしようか」などという不安と共に東京・恵比寿の店舗に向かった。

入店の洗礼

「あー…、無理ですね」

仕切り直し

Shit!
どうしたサポート。懇切丁寧低姿勢でありながらも、話が違っています。話を聞くとSIMか届いたらそれと引き換えになるとのこと。よく考えればそれはそうだ。Rakuten MiniはeSIMと言って実態のないSIMカードだが、しかし世の中にSIMカードが1契約で2つあっては困る。

そうして後日。そこには改めて「しむカード、もった!」と玄関とエレベーターで確認し、一路 恵比寿に向けて元気に走り回る私の姿が。

恵比寿の店内

2度目の入店

恵比寿の店舗について1時間弱。それまで何度も「申し訳ありません。あと30分ほどで…」「新規契約を優先させていただいてもよろしいでしょうか?」などと気にかけてくれたので、auショップに比べれば全然いーじーいーじー。平気平気!

「こーちゃさま、こちらになります」
STAFF ONLYという文字を通って、地下室へと連行される私。

スタッフオンリーという地下室
地下室

au、IIJみお、UQを併用していることが、不味かっただろうか。そうか、楽天のコーポレートカラーの赤は共産主義の象徴。回線とは楽天が唯一であることをここで身体を持って躾けられるのかも知れない。
「少々お待ちください」
頭が真っ白になった私に、その言葉はうまく届かない。悪かった。欲深く生きて悪かった。

途方にくれた私は、これが最期と思い、NTTの友達にメッセージを打った。

友達との会話

「電波遮断ではないか」
数少ない友人の貴重な言葉に、私はもうダメだと察した。

執行

「お待たせしました」
執行が告げられた。

「一生……一生、楽天します!」
先にそう宣言して穏便に済ませようとしたところ、私のiPhoneを見られたようで「iPhoneとの組み合わせの方が多いんですよね。モバイルルーターとして使えますし」
というお言葉。

どうやらここは共産圏ではなさそうだ。彼の持ってきたファイルも説明書も、よく見ると赤ではなく、子供の頃どんぐりの中にいた幼虫を潰した時に出力された液体の色をしたものばかりだ。通称マゼンタ。赤ではなかった。

SIMからRakuten Mini (eSIM) への切り替えは簡単に終わった。しかし、まだ本格サービススタート前ということもあってか、色々と環境は雑なところもあった。決済も楽天IDとパスワードを、スタッフの端末に生付けで入れて行う。それもネットショップのシステムをそのまま使って、端末を購入したことにしている。

またスタッフの回線手続きのための本部との通話も、途中で何度か途切れてやり直された。
実際は1時間くらいだったので相当早い方だったと思う。かくして私は嬉々として新端末を手にしながら友達の家へ向かった。

楽天モバイル店頭

Rakuten Miniレビュー

極小端末。iPhoneSEよりさらに小さい3.6インチの小型端末だ。

Rakuten Mini実機

処理の速度と電池容量

CPUはSnapdragon™ 439と結構控えめに思えるが、端末サイズの割に3GBのメモリを積んでいるおかげか、テキストメッセージでやり取りするTwitterや簡単なブラウズ、Instagramなども軽快に動き、アプリの切り替えももたつかない。

さすがにiPhoneと比べるのは酷だが、税込2万1800円にもかかわらず4〜5万円程度のXperia Compactシリーズよりも速い処理には驚く。もっとも、これは小さな液晶であることにも由来しているのでしょうけれど。

解像度に驚くが小さな画面に制約はある

液晶画面の鮮明さは素晴らしい。どうやらiPhone SE系よりも解像度は高いらしい。極小端末における液晶は、解像度こそ命なので嬉しい部分。

しかし画面の小ささゆえに一部では問題も発生した。例えばDiscordのログイン・サインアップ画面。下部に表示されるボタンがほとんど見えないという時もありました。

同じくDiscordや、その他テキストメッセージアプリではロック画面からの直接返信を行う場合、ステータスバーのショートカット などの領域で埋められてしまう。英字入力だと問題ないが日本語入力だと変換候補の領域が加わって簡単には返せない。Androidの場合、ロック画面から返すことは個人的にはあまりないので特段の問題はないが、Androidをフルで生かせない面があることもお伝えしたく書いておきます。

アンビエント表示

通知画面はアンビエント表示に対応。通知があるとフルスクリーンで当該の通知を表示してくれます。ただし5秒程度なので気持ち少し速いかなと思います。

ある程度の音まわり

魅力的な画面に対して音まわりは至って普通。おそらく薄さ優先のためかイヤホンジャックもない。貧弱に思えてしまうが、設計思想そのものがあくまでも「サブ端末」。だから音に関してはこれでいいと思えてしまう。

この辺りの、本来のスマホなら高スペックと多機能さをどうまとめ上げるかが勝負なのに対して、サイズ的にもサブ端末前提になるため割り切れてしまう。GIZMODEのレビューでも網藤さんが「こいつずるいんですよ」と仰っていた通り。

通知音のボリュームはやたらと大きい。これはAndroidの端末によってよくあることらしいですが、会社内ではうるさいので通知音量を下げるアプリ「Extra Volume Config」を使っています。


ホーム画面のUIデザインに必然性を感じない

標準のホーム画面はAppleWatchを模倣したであろうデザイン。Applewatchは360°ぐるぐるとスクロールして狭い画面を効率的に使っているのに対し、RakutenMiniは縦スクロールのみ。それでも動作は工夫されていると思いますが、しかしこのデザインには必然性を感じません。

そこで個人的にはスクエアホームという、Windows10を彷彿とさせる格子状にレイアウトできるホーム画面に代えて利用しています。これならスクリーン全体を効果的に活用でき、アプリも見つけやすいので便利です。


バッテリーの持ち

バッテリーについては、本体の小ささゆえに期待できません。それでも、さらに小さな端末「PALM」に比べれば良いし、約1,250mAhというのはサブ端末的なチラ見と通勤・退勤時の軽いチェックであれば一日持つレベルです。

少しでも改善するため、位置情報によってWi-FiのON/OFFを切り替える「お出かけスイッチ」というアプリを利用しています。GPSを使ったら意味がないように思われるかもしれませんが、都会のWiFiやBluetoothが入り乱れるところであれば効き目はあるように感じています。


メイン機もAndroidという方へ

私はメインはiPhone/iPad/Mac/AppleWatch/AirpodsProというAppleに染まった人間なので恩恵はありませんが、ついでにメイン機もAndroid遣いの方のためにもうひとつだけアプリの紹介を。

コピー・ペーストなどを同期したり、通知やSMSを端末を越えてシームレスに扱えるようにできるアプリがあります。それが「Join by joaoapps」。

このアプリをメイン端末とサブ端末(Rakuten Mini)の両方に入れておけば、メインでコピーしたものをサブで貼り付けるなんてこともできます。通知も指定したアプリの通知を転送でき、SMSは別端末のものも直接送受信できます。


カメラの解像度が意外に良くてデレた

あまり他のレビューでは深く触れられていませんでしたが、カメラの解像度もよかったのは嬉しい誤算です。まずは低価格帯のカメラでも勝負できそうな、室内の物撮りから。ジョナサンの抹茶ティラミスたっぷりフルーツIN。

状況によってはサイズこそ小さいもののiPhone Xより良い場合も。続いて一歩厳しい条件である少し薄暗い英国風HUB(パブ)へ。

むしろ明るく撮れていて、iPhone Xの塗り絵になっている部分もうまく表現できている気さえします。では、夜の屋外までいくとどうだろう?

末広町の鯛焼きやさん、鳴門鯛焼本舗へ。ひとつづつの型で作られるパリパリの皮に十勝さんの小豆を使ったとても美味しい鯛焼き屋さんです。

雰囲気はかなり再現できている。しかし、ここまでくると暗い部分の表現は弱さを感じます。

シャッタースピードは問題なさそうですが、しかし端末処理に負担がかかっているので、シャッターを押してから切られるまでの速度は1〜2秒遅れています。これが少し煩わしい。だけど、結果がこれだけ得られるなら十分です。

eSIMの問題点

あとはこのRakuten Miniは実態のあるSIMカードではなく、eSIMという仮想のSIMモジュールが入っています。画面上で切り替えられるものです。こちらも賛否両論ありますが、それ以上に楽天モバイルから全く変更できないのではないかという懸念がありました。それについてもIIJmioのeSIMを入れることができるようです。詳しくは下記のGADGETSHOTさんの記事をご覧ください

https://gadget-shot.com/guide/47955

楽天モバイルの通信

使えなくはないけどね!

サポーターズ プログラム第一弾では酷評が目立った回線については。メインの回線としてはギリギリなところかなと思います。これが第一弾からのフィードバックや改善によるものなのであれば、この先も改善はされていくものと思います。

通信エリア

2020年2月上旬現在のエリアはこんな感じ。横浜〜大宮の南北軸、東西は23区。

パートナーエリアはau(KDDI)とされています。

休日夜の主要駅

山手線の主な駅での計測結果を置いておきます。

通信会社別(平日12時15分頃の品川)

格安SIM(MVNO)のIIJmio惨敗みたいなことが言いたいわけではないです。悪条件のMVNOはこんなものです。そして楽天モバイルは少しづつ測っている中ではかなりダウンロードは良い結果です。これは屋外というのが大かも。

とにかく平日のお昼休み時間の都心はタイミングによるものが大きいので参考にもならないかもしれないが、注目すべきはレイテンシの項目(低ければ低いほど低遅延で良い)。

IIJmioはあくまでも格安SIM。楽天は回線業者(MNO)であるにもかかわらずこの不安定さは謎です。サポーターは2万人しかいない中で、ですからね。

そして電話回線はぶつぶつと切れる時がありますし、音質は悪いです。

楽天モバイルの雑感

回線業者としてはまだまだといった印象。提供開始の4月までに全てが改善されるかどうか、感覚だけで言えば厳しそうです。回線品質は今はサポーターの2万人しかいないから速いというだけで、安定もできていない。これが流行らなければ使えるけど、そうなると企業としては継続が難しいということになります。店舗スタッフの方々は非常に丁寧な接客でしたが、オペレーション的な部分で現場の負担となっているような印象を受けました。これは人材確保が難しい今、より現場を楽にするためにも経営・上層部が効率化のため改善すべきところがあるように思いました。

しかしそんな中で、Rakuten Miniという目玉の機種を設定したり、話題性を打ち出したりできる点は注目です。これが数年後、どうなっているか。利用者として回線業者に求めるのは安定性です。

思えばUQ-WiMAXの提供開始当初も、4G回線の提供開始当初も、不安定な面というのはありました。電電公社(現在のドコモ率いるNTT)や第二電電(au率いるKDDI)や、ツーカー(現在のソフトバンク)などと違って、完全に独自に敷設するというのは大変な苦労があると思います。周囲に巨大なライバルに挟まれている中で最初から完璧というのも酷な話です。

まずはMVNOの気持ちを切り替えてMNOが飾りにならないよう、安価で安定した提供を望みたいところです。

なおこちらのレビューに書かれていることは責任を負えませんよ。
シャキーン!楽天カードマーン!

これで匿名性を担保できたと信じているこーちゃでした。